
老後の医療費が心配で保険屋さんに相談したところ、今のうちに終身型の医療保険に加入しておきましょう。そうすると老後でも保険料を安く抑えることを出来ますよーって言われたから加入して来ちゃった。これでいつ病気になっても安心~

民間保険入ってなくて公的保険が破綻したらどうするんですか?やっぱり民間保険は入っておいたほうがいいよね。この考えちょっと待ってください。この記事では本当に民間保険が安心なのか徹底解説していきます。
医療保険制度のおさらい
保険というのは固定費の中で、家や車のローン等に匹敵する金食い虫の一つです。人によっては30年で1000万円以上の保険料を払う人もいます。正しい知識を身につけて小金持ちを目指しましょう。
日本の医療制度は大きく3つに分けることができます。
- 健康保険
- 国民健康保険
- 後期高齢者医療制度
この3つの制度は全くの別物です。75歳未満の方々は健康保険か国民健康保険のどっちかに加入しています。75歳以上になったら後期高齢者医療制度に加入することになります。(一定の障害がある場合は65歳以上から加入できます。)
それぞれの特徴も見ていきましょう。
対象者 | 窓口負担 | 高額療養費 制度 | 傷病手当金 | 出産手当金 | 扶養 | |
健康保険 | 公務員 会社員等 | 3割 | あり | あり | あり | あり |
国民健康保険 | フリーランス 農家等 | 3割 | あり | なし | なし | なし |
後期高齢者 医療制度 | 75歳以上 | 1割※ | あり | ー | ー | ー |
※所得によって2割、3割負担になる。
会社員や公務員の場合、保険料の半分は会社から出ているので、こんなにコスパが良くて保障が充実している保険はほかにありません。
後期高齢者医療制度について
75歳以上から加入でき、健康保険や国民健康保険から独立した医療制度です。医療費の窓口負担は原則1割、課税所得が28万円以上あり、年金とその他の所得が1人だと200万円以上、2人だと320万円以上ある方は窓口負担が2割、現役並みの所得がある方は窓口負担が3割になります。
高額療養費制度は一般的な年金暮らしをしている方はどれだけ医療費がかかったとしても、月約5万円前後で済みます。
令和7年度の全国平均保険料額は月7,192円です。引用について-厚生労働省
保険料は次の2つを計算して合計した金額になります。
- 所得割:所得に応じた保険料、収入が多いほど保険料も高くなる。
- 均等割:加入者全員が等しく負担する保険料、基本料金みたいなもの。
後期高齢者医療制度の財源の内訳は公費(税金)が5割、健康保険と国民健康保険からの支援金が4割、高齢者の保険料が1割という内訳になっています。財源の9割が税金や支援金です。なので税収が減少し、健康保険や国民健康保険の運営が厳しくなると、後期高齢者医療制度の運営も厳しくなり、改悪等が進みます。
公的保険の改悪への対策
私たちが現在支払っている保険料の一部は、支援金として後期高齢者医療制度へ流れています。皆さんが現役の時は、高齢者に対して支援金を送るんですが、皆さんが高齢者になったときは皆さんに支援金をくれる現役世代が少なくなるので、助けたのに助けてもらえないという状況が生起します。これは健康保険に限らず、年金でも似たような話ですよね。
改悪されるのは分かったがじゃあどうすればいいんだよ。そんな声が聞こえてきそうですね。結論から言います。民間保険に加入するのではなく若いうちから蓄財し備えてください。制度が改悪されコスパが悪くなる分、自己資金を積み上げておきましょう。
後期高齢者医療制度の窓口負担が1割負担から2割負担になりそうです。果たして、私たちが高齢者になるころは何割になっているでしょうか。
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所のデータによると2020年に約1億2615万人だった日本の人口は、2070年には約8,700万人にまで減少するといわれております。引用について-厚生労働省
65歳以上の割合も23%から40%にまで上昇します。こういった状況なので、社会保障制度が改悪されることはもはや不可避ってことですね。なおさら民間保険入ったほうがいいんじゃないかと思われる方はいらっしゃると思います。でもよく考えてください。公的保険ですら支えられない世界を民間保険が支えることは不可能だってことは知っておいてください。国が支えられないものをいち民間保険会社が支えるのは無理なのです。
しかしながら日本は本当に恵まれている国です。アメリカでは公的保険が乏しいため、お金持ちが民間保険に加入し医療レベルの高い治療や手術をするといった風潮があります。
- 日本の公的保険は改悪するとはいえ、低所得者には一定の配慮がされる。
- 医療費の差で受けられる医療レベルは変わらない。
- コスパは悪化するが保険がないよりはマシ
ということを考えるとあんまり過度に悲観的になる必要はないです。
保険で備えなければならないもの
基本的に保険は発生確率は低いが発生したら大損害を受ける、こういったものに備えるべきです。大地震による災害や若くしてガンで亡くなるということは、発生確率は低いんだけどもし発生したら家を失うだとか、残された家族が生活できないとか大損害を受けてしまいます。
その一方で年を取って老いてから病気になるといったことは発生するのが当たり前です。発生確率が高いものに対して、保険で備えることは出来ません。なぜなら保険加入者みんなが得するなら保険会社潰れちゃいますからね。
民間保険に入っていたから病気になった時得しました。入院した時得しましたって人がたまにいます。保険の仕組み上一定数得する人は出てきます。しかしその時だけ得しただけにすぎません。保険の目的は損得ではありません。本来は発生確率は極めて低いんだけど発生した場合損失が大きい、こういうものに保険って入るものなのです。
民間保険に加入するべきは3つです。火災保険、自動車保険(対人・対物のみ)、掛け捨ての死亡保険これだけでいいのです。固定費を削減してその分つみたてNISAなどで蓄財し、老後の医療費に備えましょう。つみたてNISAを始めるなら別の記事でやり方を解説していますのでぜひご覧ください。【徹底解説】誰でも簡単に資産運用!SBI証券で新NISAを始める方法
まとめ
医療制度改悪には不要な民間保険ではなく、蓄財で備えましょう。年を取ってからの医療費は若いうちから自分で貯めておく。制度改悪は間違いないので、この穴は自助努力で埋めましょう。そもそもお金を貯めることで、いい食事や運動にお金が使えます。そういった生活習慣は結果的に医療リスクを軽減させます。
民間保険は加入は発生確率は低いが損失が大きいものにしましょう。
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