ETF投資の基本と始め方:初心者にも分かりやすくメリット・デメリット解説
ETF(イーティーエフ)は多くの投資家に人気のある金融商品ですが、「どんな商品なの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。
今回はETFの基本から特徴、メリット・デメリットまで分かりやすく解説します。初めての方でも理解できるよう、具体例を交えながら説明していきます。
ETFの基本:1つで複数の銘柄に投資できる「買い物かご」

ETFとは「Exchange Traded Fund(エクスチェンジ・トレーディド・ファンド)」の略で、日本語では「上場投資信託」と呼ばれています。簡単に言うと、以下のような特徴を持つ金融商品です:
- 証券取引所に上場している投資信託の一種
- 一つの商品で複数の株式や債券などに同時に投資できる
- 株式と同じように取引所で売買できる
ETFを「買い物かご」に例えると分かりやすいでしょう。例えば、日経平均株価のETFを1つ購入すると、日経平均株価を構成する225社の株式をまとめて買ったのと同じ効果が得られます。つまり、1本で市場全体や特定のテーマに投資できるのです。
ETFの主な種類と投資対象
ETFには様々な種類があり、投資対象によって分類されます。自分の投資目的に合わせて選ぶことが重要です。
1. 国内株式ETF
日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの日本の株価指数に連動するETFです。国内市場全体に投資するため、個別銘柄のリスクを避けながら、日本経済の動向に広く対応できるのが特徴です。
また、業種別やテーマ型(たとえば高配当やグロース株)に特化したETFも存在し、投資スタイルに応じた選択肢があります。
2. 外国株式ETF
米国のS&P500やNYダウなど、海外の株価指数に連動するETFです。
グローバル経済の成長に乗りたい投資家にとって魅力的で、為替ヘッジの有無を選べる商品もあります。新興国市場を対象とするETFもあり、より高い成長を狙う投資も可能です。
3. 債券ETF
国内外の債券市場の指数に連動するETFです。債券は一般に価格の変動が株式より小さいため、リスクを抑えた安定的な運用を目指す投資家に向いています。
国債、社債、インフレ連動債など、対象も多様であり、目的に応じた選択が可能です。
4. REIT(不動産投資信託)ETF
不動産市場に投資するETFで、高い配当利回りが特徴です。オフィスビルや商業施設、物流倉庫、住宅など様々な不動産資産に分散投資ができ、不動産の安定的な収益を得られる点が魅力です。
景気や金利の影響を受けやすいため、相場の見通しも重要です。
5. 商品ETF
金、銀、原油などの商品価格に連動するETFです。インフレ対策や地政学リスクへの備えとして活用されることが多く、株式や債券と異なる値動きをすることから、ポートフォリオのリスク分散にも貢献します。
特に金ETFは「安全資産」として根強い人気があります。
6. レバレッジ型・インバース型ETF
指数の動きを増幅したり、逆の値動きをしたりするETFです。短期的な値動きを狙ったトレーディングに使われ、上昇局面では2倍、3倍のリターンを目指すものや、下落時に利益を得るインバース型などがあります。
ただし、価格の変動が激しく、長期保有には向かないとされるため、取引には注意が必要です。
ETFと一般的な投資信託の違い
ETFと投資信託は似ていますが、取引方法や特徴に大きな違いがあります。投資スタイルに合わせて選ぶことが重要です。
特徴 | ETF | 一般的な投資信託 |
---|---|---|
取引場所 | 証券取引所 | 銀行や証券会社 |
取引タイミング | 市場開場時間中リアルタイム | 1日1回の基準価額で取引 |
価格決定 | 市場での需給バランス | 基準価額(1日1回算出) |
注文方法 | 株式と同じ(指値・成行など) | 基準価額での注文のみ |
購入先 | 証券会社のみ | 銀行や証券会社 |
最低投資額 | 最低売買単位×市場価格 | 数百円〜数千円から可能 |
ETF投資の4つのメリット

ETF投資には多くのメリットがあります。特に初心者の方にとって、投資の入り口として最適な理由を解説します。
1. 手軽に分散投資ができる
ETFは1つの商品で複数の株式や債券に同時に投資できる仕組みになっており、自然に分散投資が実現できます。これにより、特定の銘柄の値動きに影響されすぎることなく、全体として安定的な運用を目指すことができます。
特に初心者にとっては、個別株の選定に時間や労力をかけずに、リスクを抑えた投資を始められる点が魅力です。
2. 運用コストが低い
ETFは一般的な投資信託と比べて運用コスト、特に信託報酬が低く設定されていることが多いため、長期保有すればするほどコスト面でのメリットが大きくなります。
さらに、多くのETFは販売手数料が無料であるため、頻繁に売買するトレーダーにとっても使いやすい金融商品といえます。
3. リアルタイムで売買できる
ETFは証券取引所に上場しているため、株式と同じように市場の取引時間中であればいつでも売買が可能です。価格もリアルタイムで変動するため、自分の希望するタイミングで売買することができます。
これにより、急なマーケットの変化にも柔軟に対応できるという利点があります。
4. 透明性が高い
ETFはその保有する資産の内容が毎日公表されているため、投資家は常に自分がどのような資産に投資しているのかを把握できます。
透明性が高いことで、安心して長期的に保有しやすくなり、情報を元に投資判断がしやすいのも大きな特徴です。
ETF投資の4つのデメリット(注意点)
ETFには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在します。ETF投資を始める前に理解しておきましょう。
1. 価格の乖離が生じることがある
ETFの市場価格は常に基準価額と一致するとは限りません。市場の需給や流動性の影響を受けることで、短期的には基準価額と乖離する可能性があります。特に取引量が少ないETFや、市場が不安定なときにはその傾向が顕著です。
2. 分配金が自動的に再投資されない
ETFの分配金は現金で支払われるため、投資家自身が再投資を行う必要があります。
一般的な投資信託とは異なり、自動的に再投資される仕組みがないため、配当を受け取った後は、自らの判断で再投資先を選ぶ手間が生じます。複利効果を得るには、こまめな対応が求められる点が注意です。
3. 積立投資の対応が限られる
ETFは株式と同様に取引されるため、投資信託のような定期的な積立購入がすべての証券会社で提供されているわけではありません。
特に自動で定額購入をしたい場合は、対応している証券会社を事前に確認する必要があります。
4. 最低投資金額が比較的高い場合も
ETFは最低売買単位が「1口単位」であることが多いですが、その価格は市場価格に連動しているため、商品によっては数万円以上の資金が必要になることもあります。
特に外国株式や人気の高いETFでは、1口あたりの価格が高額になることがあるため、少額から始めたい投資家にとってはハードルになるかもしれません。
初心者向けETFの売買方法
ETF投資を始めるには、以下のステップで進めていきましょう。初めての方でも安心して取引できるよう、基本的な流れを解説します。
- 証券会社で口座を開設する:まずはETFを売買するための証券口座を開設しましょう。大手証券会社からネット証券まで、さまざまな選択肢があります。
- 口座に買付資金を入金する:取引を行うには、事前に資金を証券口座に入金しておく必要があります。即時入金サービスなどを利用すると便利です。
- 取引画面からETFの銘柄コードで検索:希望するETFの銘柄コードや名称を使って、証券会社の取引画面で検索します。事前に目論見書や運用方針を確認しておくと安心です。
- 売買方法を選ぶ(指値注文/成行注文):価格を指定して取引する「指値注文」と、価格を指定せずに市場価格で取引する「成行注文」があります。相場状況に応じて使い分けましょう。
- 注文内容を確認して発注:注文数量、価格、執行条件などを確認し、問題がなければ発注します。約定すれば、取引が成立します。
東京証券取引所の取引時間は平日の9:00~11:30と12:30~15:30です。この時間帯に注文を出すことで、リアルタイムでの売買が可能となります。
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新NISA(少額投資非課税制度)とETF投資

2024年から始まった新NISAでもETFは購入可能です。税制優遇を活用した効率的な資産形成が可能になります。
- つみたて投資枠:金融庁が指定する基準を満たす一部のETFが対象となります。積立投資に向いた商品が選ばれています。
- 成長投資枠:幅広いETFが対象となり、特に株式中心のETFが中心です。ただし、レバレッジ型やリスクの高い一部商品は対象外となることがあります。
ETFを新NISAで運用することにより、分配金や値上がり益が非課税となるため、長期的な資産形成を有利に進めることができます。特に、配当金が多いETFや長期保有に向いたETFとの相性が良い制度です。
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まとめ:初心者が今日からETF投資を始めるポイント
ETFは多数の銘柄に分散投資できる金融商品で、特に以下のような方におすすめです:
- 個別銘柄の分析に時間をかけたくない投資初心者
- 効率的に分散投資したい方
- 低コストで長期投資したい方
- 市場の動きをリアルタイムで反映させたい方
ETF投資を始める際は、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。初めての方は、日経平均株価やTOPIXなどの代表的な指数に連動するETFから始めるのがおすすめです。
また、米国市場のS&P500に連動するETFも人気があり、海外分散を狙う際の選択肢となります。
さらに、証券会社ごとに取扱銘柄や売買手数料、取引ツールの使いやすさなどが異なります。
長期的な投資を視野に入れる場合は、情報提供の充実度やサポート体制なども含めて、複数の証券会社を比較検討して、自分に最適な取引環境を整えることが重要です。
今日からETF投資を始めて、長期的な資産形成の第一歩を踏み出しましょう。
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